弱者が強者に勝つための戦い方とは? 自己表現にも役に立つランチェスターの法則

ECスプレッドの菅原です。

事業を展開していく上で、自社が「どこの場所でどうやって戦うのか?」を理解することはとても重要です。

資本・人員・データなどのリソースが潤沢な大手と「同じ市場で同じような戦い方」をしても勝ち目はありません

では大手ではない大多数の企業はどうやって戦うのかというと、差別化を図ります

マーケティングで用いられるランチェスター戦略はご存知でしょうか?

簡単にお伝えすると、シェアトップの企業が取るべき戦略と、それ以外の企業が取るべき戦略についての理論体系です。

貴社はシェアトップ以外の企業に該当しますので、差別化戦略を取るということになります。

いつか有名になりたいと考えている活動を始めたばかりのアーティストやタレントなんかも理解しておくと役に立つかもしれません。

本記事ではWEBマーケティングに活かすランチェスター戦略についてご紹介致します。

弱者の戦い方に徹する

ランチェスターの法則は「強者の戦略」と「弱者の戦略」に大別されます。

弱者は弱者の戦い方に徹することが成果を生みだす秘訣です。

 

ではランチェスター戦略の弱者と強者の戦略を比較してみましょう。

強者と弱者の定義

  • 強者はシェア1位
  • 弱者はシェア2位以下

強者がシェアトップの座を狙うミート戦略を取るのに対し、弱者はそれと違うやり方で差別化戦略を取ることを示しています。

実際は2位3位が弱者ということはありませんが、大多数の企業は弱者に該当することになりますので、弱者の戦略を取っていく形になります。

ランチェスター戦略の要点をかいつまんでお伝えしますので、ランチェスター戦略のより詳しい内容は他のWEBサイトなどを参考にしてください。

 

顧客のニーズが分からなければ戦い方は見えてこない

前回の記事「顧客がネットショッピングをする際に重視していること」をご紹介した中で、価格を重視している消費者が圧倒的に多いことが分かりました。

価格の安さは強烈な競争優位が働きますが、弱者は価格で勝負しません。

たまに「こんなに安くて大丈夫?!」と思わず感じてしまう価格設定の小売店や飲食店がありますが、そういった事業主様は得てして「安くしなければお客さんは買ってくれない」と考えています。

このとき顧客のニーズが価格だけではないことを知れば、価格以外で提供できる価値に目を向けることできます。

つまり、想定している顧客がどういったニーズを持っているかを知らなければ適切なアプローチをとることができません

提供者本位のサービスはジリ貧になってしまいます。

 

競合が競合でなくなるポジションで戦う

例えばネットショッピングの場合は、大きく分けて「価格」と「信頼性」を重んじるニーズが存在しています。

弱者は「価格」で勝負しないので、「信頼性」を徹底的に高めることを目指します。

 

しかし、以下のような疑問が生じるのではないでしょうか。

大手で同じものを販売している場合、価格でも信頼性でも勝てないんじゃない?」…と。

 

実はこれ、私がECサイトのWEBマーケティングを学び始めた頃に感じていた疑問でした。笑

例えばファッション・アパレルECの大手ZOZOTOWNには、以下のような特徴があります。

  • 取扱いブランド数が多い
  • 出店数が多い
  • 商品数が多い
  • 商品価格・送料が安い
  • 納期が早い
  • 返品交換対応あり
  • 決済方法が多い
  • 商品画像が豊富
  • 偽物がない
  • ECサイト本体が強い

 

挙げたらきりがないほどの優位性が網羅されていますね。

価格だけでなく、信頼性も最強のように思えます。

もし戦い方を知らず、自社ECサイトでZOZOと同じブランドを取り扱っていれば「つけ入る隙がないではないか…」と途方に暮れてしまいそうです。笑

 

ですが、ZOZOと競合しないポジションを狙うことで顧客を獲得することができます

そのために信頼性を高めるわけですが、例えば以下のようなアプローチがあります。

  • ZOZOで取扱っていない商品を揃える(海外流通だけなど)
  • 顧客都合(イメージと違ったなど)の返品も受け付ける
  • そのブランドに対しての知識がどこよりも豊富である
  • コーディネートなどの提案力が強い
  • ショップから人間味を感じる

 

こういった「強み」のことをUSP(Uniaue Selling Proposition)=独自の売りと言います。

顧客のニーズを知り、競合が十分にフォローできていないニーズを満たしてあげられる要素を自社ショップのUSPとし、競合との差別化を図ります


上記のようなUSPを打ち出し、ZOZOと同じ商品をZOZOよりも高く販売しているショップ運営者さんから話を聞くことができました。

「ZOZOは競合ではないと感じている。なぜなら、ZOZOはただ商品を売っているだけだから。ウチのショップは『ただ商品を買う』でなく『人から買いたい』ということを重視するお客さんに選んでもらっている。価格だけならZOZOで買うと思うけど、店主がちゃんと自信を持って売っていることが顧客の安心感につながっている。」

このように「価格を重んじる顧客」と「信頼性を重んじる顧客」に対するアプローチは異なっています

競合しないポジションを狙う(違う場所で戦う)とはこういうことです。

ただ、競合が出来ているサービスで、自社にも出来るサービスは当たり前に盛り込む必要はあります

競合に引けを取らないサービスを用意するところがスタート地点で、価格以外の部分でUSPを強化することが差別化戦略の肝です。

 

ランチェスター弱者の5大戦法 応用例

弱者の基本戦略「差別化」は「競合が重視していない顧客のニーズを自社USPに落とし込む」を指針とします

ランチェスター弱者の5大戦法をネットショップに置き換えてみていきたいと思います。

ECサイトを例に出してお伝えしますが、基本的にはどういった業種、業界でも考え方は共通しています。

 

局地戦

強者が広域戦で大きな市場を狙うのに対し、弱者は局地戦で市場を絞り込みます

自社のネットショップがどこの場所で戦うかを定める方向性としては「少数のブランドだけを取り扱うショップ」や「カテゴリー専門店」といった特化型ショップにする戦い方があります。

弱者は資源が乏しいので、その限られた資源を適切に配分することが求められます。

絞り込んだ市場で徹底的にUSPを磨くことに注力して、強者とは異なる優位性を持つことができます。

 

一騎打ち

競合が少ない市場に参入し、その市場で顧客を獲得することを目指します

1社と戦うのと、10社と戦うのでは前者の方が勝算は高いですよね。

その数少ない競合がフォローできていない顧客のニーズを満たすことのできるUSPを考えればいいので、競合がひしめく市場よりも差別化が簡単です。

ただ、競合に同じような戦い方をしているショップが存在している場合は注意が必要です。

なぜなら、競合と差別化を図ることが出来なければ、一騎打ちで戦ったとしても満身創痍になってしまう可能性があるからです。

想定している市場に参入するかどうかを決定する前に競合リサーチを行いますが、この段階で「競合のUSPはウチと似ている上にウチよりも強い。このまま参入しても勝算が低いので切り口を再考しなければならない」という判断も場合によっては必要です。

 

接近戦

ここでいう接近は「競合と接近」ではなく「顧客と接近」を意味しています。

対面のないECサイトであっても、顧客へ接近するポイントはたくさんあります。

<接近ポイント一例>

  • 顧客目線のコンテンツ
  • 店主やスタッフの顔出し
  • 商品説明文
  • ブログ
  • 電話、メール対応
  • 梱包、発送、納品
  • アフターフォロー

 

こういったポイントで顧客へ歩み寄り、強者にはできないきめ細やかなケアで顧客の心を掴みます

接近戦を重んじる弱者に対し、遠隔戦を取るZOZO(強者)が商品を売っているだけという意味が良くわかるのではないでしょうか。

一人一人の悩みを解決してあげられるくらいの距離まで接近できるのは弱者の特権です。

顧客からフィードバックがあった場合でも、意思決定→実践のスピードは強者に真似できないでしょう。

 

一点集中

潤沢なリソースを武器に総合力で戦う強者に対し、弱者は限られたリソースを一点に集中させて戦います

市場、ターゲット顧客、USPなどの重点化されたテーマの精度を徹底的に高めます

極端に言えばそのテーマ以外のことは切り捨てて取り組む必要があります。

以下に例を挙げてみます。

 

<ショップテーマ>

ドイツの腕時計専門ECサイト

 

<市場>

競合が取り扱っていないブランドだけを取り揃える

→競合が多いブランドは取り扱わない

 

<ターゲット顧客>

国内定価よりは安く買いたいが、Amazonや楽天などでは買いたくない顧客層

→仕入は並行輸入で、価格の安さを選ぶ顧客は狙わない

 

<USP>

国内で取扱店の少ないドイツの腕時計ブランドが国内定価よりも安く買える

→ブランドの網羅はしないし、値上げも値下げもしない

 

このような一点集中の戦略で、重点化したテーマに注力します。

ショップを運営していけばリソースも強化されていきますので、当初は競合のハードルが高くて手を出せなかったブランドを取り扱うこともできるようになります。

 

陽動戦

陽動戦は強者へ奇襲を仕掛けるようなイメージです。

強者がわざわざやらない方法を使って顧客へアプローチをします。

例えばドイツ腕時計専門ECサイトで「A」というブランドを取り扱っていたとすれば、「A」に関するありとあらゆる情報を発信する方法があります。

  • Aというブランドの歴史
  • Aというブランドの魅力
  • なぜ数ある腕時計ブランドの中でAを取り扱っているのか
  • Aの人気モデル〇〇について
  • Aを愛用している著名人
  • Aのレディースコーデ
  • Aのメンズコーデ
  • Aの偽物に関する情報

 

「A」のほかに「B」や「C」や「D」も取り扱っていたとすれば、4倍以上の情報をストックできることになります。

さらに、モデル別に深掘りすればネタに尽きることはないでしょう。

 

強者は総合力で戦っているので、特定の商品をここまで深掘りするようなことはしません。

こういったアプローチは顧客にとって「ここのショップはどこよりも情報量が多いな。ブランドや時計に対する想いが感じられて信頼できる」と感じてもらえますので、強者も及ばない強力な優位性を持つことができます

また、こういった情報のストックはSEOでも非常に重要な評価ポイントになりますので、WEB集客においても強者に十分対抗できる余地があります

強者は自分たちのフィールドで戦うように誘導戦を仕掛けていますが、特化した情報発信を徹底していれば誘導戦が十分に効かなくなります。

 

「戦略」という「根拠」を持って戦いに臨むこと

ランチェスター戦略を用いて、弱者の戦い方をご説明してきました。

「どこの場所でどうやって戦うのか?」は、このようにして狙って行うべきことなのです。

勝てる確率を上げるための戦略=根拠が大切です。

事業を発展&長く継続させるために「丸腰で突進」ではなく「武装して戦いに臨む」。

この考え方はビジネスだけでなく、周りとの関係性によって価値が決まる分野であれば非常に役に立ちます。

例えば音楽業界のように、競合が多い上に評価基準が実力だけでない世界なんかは特にそうですね。

人は趣味や仕事や自己表現の目的を「自分が納得できればOK」という絶対的な物差しと「周りに勝ちたい」という相対的な物差しどちらも持っていたりします。

そう考えたときに、ランチェスターの法則は覚えておけば人生が豊かになる1つのハウツーだなと私は思っています。