目標設定のないホームページは絵に描いた餅です
ECスプレッドの菅原です。
貴社がホームページを持つ目的はビジネス活用ですよね。
ホームページを制作する上で「まずは目的を明確にすることが大切」ということを前回の記事でお伝えしました。
WEBをビジネス活用するためには、以下のような方向性を理解しておく必要があります
- 目的を明確にした上でホームページを制作する
- 目標を設定した上でホームページを運用する
ところで貴社はホームページから望む成果を得られていますか?
目標設定はされているでしょうか?
「忙しくて目標設定までできていないよ」という企業様はもちろん、これからホームページを制作しようと考えている企業様も、ホームページ制作後の運用面「目標設定」について早い段階で知っておく必要があります。
「ただホームページがあるだけ」という「絵に描いた餅」にならないように、ホームページの目標設定についてお伝えいたします。
目次
ホームページ制作段階から目標設定が重要である理由
目標設定は制作後の取り組みではありますが、ホームページを制作する段階から重要なことでもあります。
なぜなら、いくら計画的に目標を設定したとしても、ホームページそのものに問題があれば目標達成には至らないからです。
目標達成を目指すために(後述する)期限、課題、KPI、解決案などをしっかり計画して実践したとしても…
- SEO対策されていない
- 導線設計が考慮されていない
- デザインがショボい
- 訴求が弱い
- コンテンツが足りない
- EFOされていない
このようにWEBサイトそのものに問題があれば、いくら見込顧客を集客したとしても目標達成には至りません。
目標達成に必要な要素をホームページ制作段階で考慮しなければ、本当に「絵に描いた餅」になってしまうのです。
ただ、これらの要素はWEB制作会社が組み立てる専門的な話なので、クライアント様は目標達成を目指すために必要な具体的な要素までは分からないと思います。
ですので、それを埋めるために「弊社はホームページを活用して月に10件の問い合わせを獲得したいと考えています。この目標を達成するための提案をして下さい」といった具合で、事前に制作会社と情報を擦り合わせておくとよいでしょう。
ビジネス全体の目標設定とホームページの目標設定
なぜ目標設定をするのかというと、目標達成に必要なプロセスを組み立てるためです。
目標設定には以下2パターンがあります。
- ビジネス全体の目標設定(年間売上20%アップ)
- ホームページの目標設定(問い合わせ件数20%アップ)
弊社はWEB制作・WEBマーケティングを通してクライアント様のビジネスをサポートしている立場ですので、本記事ではホームページの目標設定にフォーカスしてご説明致します。
ビジネス全体の目標設定は当然されていることと思いますが、ホームページで目標設定している企業様は多いワケではありません。
ホームページをビジネス活用するためには、目標設定した上で運用した方が成果につながりやすいです。
目標設定している企業様は少ないので、もしその中で貴社が目標設定をして運用すれば競合よりも成果につなげられる可能性が飛躍的に高まります。
これより目標設定の大切な役割を果たす「KGI」と「KPI」を用いて話を進めていきたいと思います。
KGIとは
KGI(Key Goal Indicator)は日本語で「重要目標達成指標」といわれます。
なんだか小難しいので「目標を達成できたかどうかを確認するための数値」と覚えて頂ければと思います。
<KGIの一例>
- 売上20%アップを目指す
- 予約数を2倍にする
- 3人採用する
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)は日本語で「重要業績評価指標」といわれます。
やっぱりこちらも小難しいので「目標を達成するために必要な個々の施策を、達成できたかどうかを確認するための数値」と覚えて頂ければと思います。
<ECサイトのKPI一例>
- ブログの訪問者数を10%増やす
- 滞在時間を2倍にする
- CVRを1%にする
KGIとKPIの考え方
KGIとKPIの違いを簡単にまとめると以下の通りです。
- KGIは大目標
- KPIは大目標を達成するために必要な小目標
大目標のKGIが最上位にあって、その下に小目標のKPIがぶら下がるようなイメージです。
KGI(ゴール)を設定する
それではKGIの設定について考えてみたいと思います。
KGIは大目標ですので分かりやすく「ゴール」と表現して進めていきます。
ゴールを設定しなければ「課題」も「解決案」も「やるべきこと」も明確にすることはできません。
はじめにゴール設定を考える上で大切な以下の2点を説明します。
- 数字に落とし込む
- 期限を決める
数字に落とし込む
「売上」や「採用人数」といったような数字に落とし込まれた目標であればそのままゴール設定すれば良いですが、中には「会社を大きくしたい」や「地域の役に立ちたい」といった数字に落とし込まれていない定性的なゴールもあると思います。
数字に落とし込まれていないゴールは達成度合いが可視化しにくいため、ゴールは必ず数字に落とし込む必要があります。
<ゴール(KGI)の例>
- 「会社を大きくしたい」→「年商100億円」
- 「地域の役に立ちたい」→「年に2回地域住民を巻き込んだイベントを開催」
- 「看板メニューを作る」→「来店者の8割が注文」
- 「顧客に喜んでもらいたい」→「リピート率50%」
期限を決める
期限を明確にしなければ必要性が低下します。
すると当然実行力も低下するので、結果的にゴールを達成できなくなります。
また、期限を設けると手段も変わってきます。
3年後・1年後・6か月後・3か月後と期限があれば、それぞれ選ぶべき手段が異なることは想像できますよね。
期限が短すぎると、手段が限られる上に成果も現れにくいです。
逆に期限が長すぎると、環境変化によって条件が変わったり、モチベーションが下がって頓挫する可能性も考えられます。
ですので、環境の変化も起こりにくく、モチベーションも維持しやすく、行動もイメージしやすい3か月後くらいを目安にすると良いでしょう。
3年後・5年後・10年後のゴールも当然あって良いですが、実行を考える本記事の主意とは分けて考えて頂けたらと思います。
期限を決めて数字に落とし込んだゴールを設定する
期限を決めて数字に落とし込んだゴール設定の例は以下の通りです。
- 3ヵ月後に問い合わせ数を10件にする
- 3か月後に50個販売する
- 3か月後に合計5件の契約を獲得する
ゴールと現状のギャップを把握する
ゴールと現状のギャップを把握しておく必要があります。
- 先月までの問い合わせ数は平均5件なので、3か月後には2倍にする必要がある
- 先月までの平均販売数は40個なので、3か月後には1.25倍にする必要がある
- 今現在の契約は1件なので、3か月以内にもう4件獲得する必要がある
ギャップを埋めるために必要な課題を抽出する
ギャップを埋めるために必要な課題を抽出します。
課題と言っても弱点を克服することに限らず、ギャップを埋められるなら強みを伸ばしていく視点を持って考えてみることも有効的です。
上記3つのゴール例の中から「1.3ヵ月後に問い合わせ数を10件にする」を例に挙げて進めていきます。
<ゴール>
「3ヵ月後に問い合わせ数を10件(2倍)にする」
<課題の例>
- 顧客が競合に流れている
- 顧客が自社を選んだ理由を理解していない
- 自社の強みを打ち出せていない
- リードを獲得できていない
- WEBサイトの作り込みが弱い
- WEB担当者が兼務で取り組めていない
課題に優先順位をつけて3つ程度に絞る
抽出した課題を評価します。
課題が増えすぎると消化しきれないので、この段階で「やること」と「やらないこと」を明確にし優先順位をつけます。
優先する課題は3つ程度に絞ると良いでしょう。
ABCの3段階評価で、「効果」「時間」「気軽さ」の3つの判断基準で絞り込みを行います。
<効果>
優先度を決める際に最も重要な判断基準です。
ゴールを達成するために、最も効果のありそうな課題にはAをつけます。
<時間>
その課題を解決するために要する時間です。
<気軽さ>
腰が重くならないもの、予算がそれほどかからないもの、すぐに解決できるものなどを考慮します。
自社で取り組まなくても外注すれば解決できるものはAと判断しても良いでしょう。
KPI(サブゴール)を設定する
次にKPIの設定について考えてみたいと思います。
KPIは小目標ですので分かりやすく「サブゴール」と表現して進めていきます。
ゴールを達成するために抽出した3つの課題を分解し、サブゴールを設定する必要があります。
これまでの内容を整理してみましょう。
<ゴール>
「3ヵ月後に問い合わせ数を10件(2倍)にする」
<絞り込んだ3つの課題>
- 顧客が自社を選んだ理由を理解していない
- 自社の強みを打ち出せていない
- WEB担当者が兼務で取り組めていない
課題を分解してサブゴール化する
課題のサブゴール化を考えたとき、1つの課題に対して複数のサブゴールが出てくる場合が多いですが、ここでも複数のサブゴールの中から優先順位をつけて取り組むようにします。
そして、もっとも優先順位の高いものを最重要サブゴール(KPI)と位置付けることが大切です。
なぜなら、最重要サブゴールを達成すればゴールに大きく前進することが期待できるからです。
ちなみにサブゴールを設定する際は「サブゴール(KPI)は目指すべき結果であって、行動の目標ではない」ということをしっかりと覚えておいて頂けたらと思います。
- ブログを週に2回更新する→(× 行動目標)
- ブログのアクセス数を月300→500にアップする(○ サブゴール)
このことは私もついつい忘れてしまうことがあります。笑
最重要サブゴール(KPI)は「ブログのアクセス数アップ」に設定します。
サブゴールを達成するための解決案を考える
課題をサブゴール化したら、次はサブゴールの数値を達成するための解決案を考えます。
解決案に優先順位をつける
複数の解決案が挙がりました。
いずれも「やるべきこと」を前提に進めてきた重要事項なので、理想はすべて実行に移すことですが、ここでも優先順順位を付けて取り組みます。
ここで保留とした解決案も本来取り組むべき事項ではあるので、忘れないように頭の片隅に置いておくようにしましょう。
ゴール(KGI)とサブゴール(KPI)と解決案(タスク)を整理する
ここまでご紹介した通りに細かく計画に落とし込むと、進めていく中で「この施策はそもそも何のために実行しているのか?」を忘れてしまいがちです。
様式にこだわる必要はないと思いますが、全体像が分かりやすいように一度整理することをおすすめします。
目標を設定しPDCAを実行する
ホームページの目標設定についてお伝え致しました。
計画を立てるのは中々骨の折れる仕事ですが、「やみくもに取り組む」のと「計画に基づき取り組む」両者には確実に差が生まれます。
もし、このように型にはめて落とし込むのが苦手なのであれば、ご自身でやりやすいように計画を立てるといいと思います。
その際に気を付ける最低限のポイントは「数値化すること」と「期限を定めること」で、PDCAを実行できるような計画にすることです。
やりっぱなしだと取り組んだ施策に効果があったのかどうかを測れませんので、その点を意識して目標設定して頂けたらと思います。
ちなみに、今回ご紹介したKGIとKPIの落とし込みは冨田和成さんの『鬼速PDCA』を参考にしています。
ビジネスパーソンであればPDCAは当然ご存知かと思いますが、書籍ではPDCAの具体的活用方法を余すことなく伝えています。
これまでHow To本は色々と読んできましたが、その中でもトップ3に入るほど有益な一冊でした。